聖路加の看護100のエピソード 聖路加の看護100のエピソード

聖路加の看護教育の伝統と歴史が紡ぐ100編の物語。
2020年11月、記念誌『聖路加の看護100のエピソード』が発行されました。
『100のエピソード』ウェブ版の当サイトでは、エピソードの一部を抜粋してご紹介します。

【NEW!】2021.02.25
エピソード(第3回)


まもなく2011年の東日本大震災から10年を迎えます。
今回の「聖路加の看護100のエピソード」では、聖路加の災害支援をテーマに4作品をご紹介します。

エピソード一覧はこちら

旧校舎(~1995年)

  • 聖路加国際病院旧館正面(右端が旧聖路加看護大学校舎) 聖路加国際病院旧館正面(右端が旧聖路加看護大学校舎)
  • 実習風景(1933年) 実習風景(1933年)
  • 学生寮 学生寮

100周年関連の出来事

100周年関連の出来事
巻頭言
次の100年に向けて
聖路加国際大学
学長 堀内 成子(ほりうち・しげこ)
同窓会を
代表して
聖路加同窓会
会長 小松 美穂子(こまつ・みほこ)
編集後記
ナウシカたちの100年
松本 美奈(まつもと・みな)
巻末言学校法人聖路加国際大学
理事長 糸魚川 順(いといがわ・じゅん)

*呼称(学生、生徒、看護婦、助産婦、保健婦等)の表記は、原文のままといたしました。
*Class of ○○○○は、卒業年を表します。

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聖路加国際大学看護教育100周年
聖路加の看護100のエピソード

著者:学校法人聖路加国際大学/聖路加同窓会
企画:聖路加の看護100のエピソード制作委員会
堀内成子/小松美穂子/麻原きよみ/吉田俊子/小山田恭子/太田喜久子/大久保暢子/鈴木千晴/東郷小巻
編集:松本美奈
イラスト:塩野悦子(Class of 1981) 吉田由紀

巻頭言
次の100年に向けて

聖路加国際大学
学長 堀内 成子(ほりうち・しげこ)

2019年2月5日、私の会議予定に看護教育100周年記念事業、記念誌 『聖路加の看護 100のエピソード』(仮)と記されていた。1年8ヶ月後の2020年10月24日予定の記念礼拝・式典・祝賀会に間に合うようにとその日が選ばれた。記念誌を共に作る仲間たちとの話し合いで、方針が決まった。①積み重ねてきた歴史と実績を、関係者の言葉で表現する。②聖路加の看護教育について、第三者の目線から語ることを通じて質を表す。③一般の方が読んで面白いと思えるエピソードを記す。④「人」の顔が見える内容・構成で、「看護師=白衣の天使」のイメージを超えて、大学や病院、「看護」に対する親しみを感しじてもらう——。集まった仲間たちの表情は輝いてみえた。私たちの誇る聖路加の100年を、多くの方々と一緒にふりかえり、次の100年を考える好機だからだ。

2019年5月16日、大学と聖路加同窓会が主催となって、原稿募集のお知らせを同窓生、聖路加(大学・病院)に勤務経験のある人、医療者・教職員、在校生に届けた。おかげさまで、多くの皆様より原稿を寄せていただいた。エピソードが教えてくれるのは、戦争時代の忘れられない記憶、寮や学び舎での思い出、忘れられない教員の言葉、品格ある振る舞いをみた瞬間、聖路加で過ごした時間が人生を彩っていたという発見、時が経ってからわかった事など。

1920年に聖路加国際病院附属高等看護婦学校としてスタートした本学は、2020年に看護教育100周年の節目を迎えた。特設ホームページには、看護教育100周年記念サイト:知と感性と愛のアート〜聖路加の看護、いま、そしてこれから〜と記されている。原点に立ち戻り、これからの100年を見据えた時間を持ちたい。そこで特設ホームページに次のように思いを寄せた。

病に苦しむ人の人生に寄り添う「看護」、その人らしい健康を創る「看護」、革新的アイデアの新しい「看護」を開拓実践する。そんな「看護」する人を育てたい。次の100年も、人々の求めるケアを、ひとりの幸せが周囲に広がっていく、豊かな時間を創りだす、そんな「看護」する人を育成します。聖路加国際大学は、「看護」する人を育成する学び舎であり続けます。これからも、人々の傍らにそっと寄り添う、忘れられない看護を。

記念すべき2020年が、新型コロナウィルスの世界的流行のために、すべての人々の暮らしや人生に変更を余儀なくさせ、保健医療従事者に大いなる挑戦を迫る年になるとは、誰が想像しただろうか。

100のエピソードを手にしてくださった皆様にとって、先の見えない疫病災害の時代を生きる標になればと心から願っている。聖路加の精神は、進取の気性をもつ人々のつながりを大切にしながら、“最善を尽くせ、しかも一流であれ”という創設者の言葉の実践者でありつづけることだ。実践者たる私たちをこれからも叱咤激励していただければ、これに勝る喜びはない。

Profile

1978年聖路加看護大学卒業。聖路加国際病院勤務ののち、東京大学大学院修士課程、聖路加看護大学大学院博士課程修了。1982年より聖路加看護大学教員。聖路加産科クリニック出向、看護学部長、看護学研究科長等。2020年4月より現職。

同窓会を
代表して

聖路加同窓会
会長 小松 美穂子(こまつ・みほこ)

 看護教育100周年の記念誌「聖路加の看護100のエピソード」が完成しました。短い期間のなかで執筆者と編集関係の皆様による尽力の賜物です。ご協力に深く感謝申し上げます。

これまで母校は卒業生・修了生約5000名を輩出してきました。母校開設から約50年間(1920~1980年頃)は1学年20人から50人の少人数教育でしたので同窓生数はそう多くありません。

本記念誌に聖路加女子専門学校(興健女子専門学校を含む)卒業生から聖路加国際大学大学院修了生まで70名を超える同窓生がエピソードをお寄せくださいました。心より御礼申し上げます。

エピソードは戦前から現在までの多感な学生時代、聖路加の教育を情熱もってお教えくださった諸先生方の姿、聖路加国際病院での先輩看護職、医師、関係者及び患者からの学び、公衆衛生看護教育、社会における先輩諸氏の活躍など多様な側面から母校教育を展開くださいました。これらのエピソードは100年の教育の歴史が厳しくも温かく、心を揺さぶる日々の積み重ねであったことを如実に表しています。学生生活・教育の厳しさについて聖路加国際病院名誉牧師、故竹田眞二氏は、『聖路加看護大学50年史』(1970年)の中で、初代主事アリス・C・セントジョンが「私は学生に厳しいが、学生と共に自分にも厳しくしています。それは共に向上しようとの願いからです」と語ったことを紹介しています。

そしてもっとも大切なことは教育の根底には常にキリストの愛を基盤とした建学の精神と看護に対する誇りがあることです。

本記念誌は、過去を振り返ることはこれから先の生きる力になることを教えてくれます。きっと同窓生・大学関係者を励まし、看護を目指す人にも力を与えてくれることでしょう。

最後に聖路加の教育を支え、本誌に珠玉の文をお寄せくださいました諸先生方及び関係者の皆様に深謝申し上げます。

Profile

1966年聖路加短期大学卒業、常磐大学大学院修了。1968年聖路加看護大学助手、2003年茨城県立医療大学副学長、2009年茨城キリスト教大学学長。2015年5月より聖路加同窓会会長。

編集後記
ナウシカたちの100年

松本 美奈(まつもと・みな)

2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、東京など9都府県で不要不急の外出などを制限する「緊急事態宣言」が出された。直後に始まったのが、毎金曜日の正午、コロナと戦う医療従事者に感謝の拍手を送る「フライデーオベーション」だ。役所や企業、学校……。全国各地にその輪は広がり、正午の時報とともに作業をやめて窓を開け、ありがとう、くれぐれも感染しないようにと、無事を祈って手をたたく光景があちこちで見られた。

そんな多くの人たちの脳裏に浮かんだのが、「最も身近な医療者」と言われる看護師の姿ではないだろうか。実際、新聞をめくると、コロナ禍の現場をつづったルポの多くが記事の主役に据えていた。もとより人手が足りず、厳しい勤務ローテーションの日々。満床にもかかわらず、次々に担ぎ込まれる感染者を前に、体力的にも精神的にも限界を超えていながら、休みを取れない、取らない。心配をかけるからと、家族に実態を話すこともない。献身的な仕事ぶりに、ちょうど5月、生誕200年を迎えた英国の看護師フローレンス・ナイチンゲールの生き方とクロスさせる報道も目立った。

聖路加もむろん現場の一つ。学びの途上の「ルカ生」たちもまた臨場を覚悟していた。3月に教育プログラムの一環でカナダの病院で学んでいたルカ生は、早く病棟へと覚悟を固める現地看護学生と同様、はやる心を抑えていた。帰国するやいなや、心配する家族を、使命を果たさなければならないと説得したという。まだ臨場する事態には至っていないものの、そうした真摯な学生像の陰には、支える教員たちがおり、培われた伝統がある。

記念誌の編集者として出会った100編は、まさに積み重ねた伝統、100年の歴史だ。第1章「あの日々、時代の熱の中で」では、戦前、戦中、戦後と歴史的な事象に関わってきた首都の看護学校としてのエピソードを盛り込んだ。学び舎でルカ生に向き合う熱い先生たちとの濃密なやりとりは、第2章「群像——思い出の先生たち」にまとめた。聖路加らしさの一つは、第3章「使命感——医者にも厳しく」に凝縮している。命の前でスタッフは平等。多くの医療現場が悩む看護師と医者との関係に一石を投じる。第4、5章にはキリスト教に裏打ちされた多様な学びの数々がちりばめられ、第6章「伝統」として受け継がれて、第7章「たんぽぽの綿毛のように」国内外に飛翔するエネルギーとなる。地域や患者たちのエールは第8章「評価——外から見ると」に収めた。

アニメーション映画の名作「風の谷のナウシカ」では、火の七日間で世界は焼き尽くされ、異形の蟲(むし)たちが蠢く腐海に覆われた。コロナ後に人類の歴史はどう動いていくか。蟲とも心を通わせ、新たな歴史の始まりを予感させた主人公ナウシカに、ルカ生を重ね見る気がする。

Profile

ジャーナリスト、上智大学特任教授、帝京大学客員教授、一般社団法人Qラボ代表理事。元読売新聞記者。著書に「異見交論 崖っぷちの大学を語る」。社会保険労務士。

巻末言

学校法人聖路加国際大学
理事長 糸魚川 順(いといがわ・じゅん)

看護教育100周年を記念し、卒業生を中心に集められた「100のエピソード」集を発行することになりましたが、その経緯を少し説明したい。もちろん、別途100周年記念誌の発行準備中でもあります。

神田の古本屋街で記念誌を専門的に取扱う店に昔よく立ち寄ったことがある。学校法人のみならず企業も実に多彩な記念誌を発行している。明治以降、資本主義化という激動の歴史の流れのなかで、創設の経緯、理念、現代までのリーダーたちの辛苦努力が実にリアルに記載されている。また、資料も立派に整理され、学術的価値あるものも多い。特に私学の年誌からは、建学の精神、教育体制の整備拡充、それを支えた教授陣の労苦がひしひしと伝わってくる。教育機関としていかに特色のある学校を構築してきたか興味が尽きない。しかし、学校という器の中で学生たちが教員と対話し、いかに学び、生涯の友を作り、悩める青春時代を過ごし、社会へ巣立っていったか、また実社会でも学びを積み重ね、使命感を持って自分を磨き成長を続けていることはもちろん、正式な記念誌からでは決して伺い知れない卒業生の生身の声がこの100のエピソードに集約されている。100周年を記念し、こんな記録もあっても良いのではないか。患者さんとの対話を通じ、物語を聴くことにより寄り添うとは何か、そのための行動とは何か、看護学校創設以来5000人の卒業生・修了生を数えるが、自分なりのナイチンゲールを目指し活躍している卒業生がいることをご理解いただければと願っている。

将来看護職に就くことに興味を持っている高校生にもぜひ読んでいただきたい。医療技術の高度化、細分化が急速に進む現代社会、看護の実態は、医学、歯学、薬学との横断的連携なくして超高齢化社会には対応出来ないと考えられる。大学も積極的に挑戦を続けており、次なるエピソード集はきっと新たな看護を切り口にしたものになることを期待している。

末筆になりましたが、本エピソード集の編集にあたっては、元読売新聞記者、松本美奈さんにお願いしたところ、快諾いただきました。見事にまとめてくださいました。改めて心から感謝申し上げます。

Profile

1964年立教大学経済学部卒。1964年日本興業銀行入行。シンガポール支店長、福岡支店長等を経て1995年常務取締役。2000年興銀リース取締役副社長。2007年学校法人立教学院理事長。2014年学校法人聖路加国際大学理事。2016年4月より現職。