アメリカにかかる橋

粕田 悦子(かすた・えつこ)

聖路加国際大学、100周年、おめでとうございます。人生にはたくさんの分かれ道や多くの選択肢があります。果たしてこれで良かったか、間違った選択をしたのではないか、不安に思うことがたくさんあります。しかし、私の人生には、ひとつ、絶対に間違っていなかったと思えることがあります。それは聖路加国際大学(私の入学当時は聖路加看護大学でした)に入学したことです。私は学士編入学でしたので、以前の大学では英文科の専攻。看護の知識などまったくありませんでした。しかし、私の可能性を信じ、育ててくれたたくさんの先生方に出会い、つらい時も笑顔で一緒に乗り越えていける学友を得ることができました。そして看護という尽きることのない学びの世界を得たことは、私の人生の大きな転機となる出来事でした。

私は、日本で4年間看護師を経験した後、看護経営学の修士を得るためにアメリカに進学しました。修士課程を修了し、カリフォルニア州の看護師免許を取得後は、病院での勤務を経て、現在ではアメリカと日本での新薬開発に関わる医療施設で働いています。言葉はもちろん、文化の異なる環境の中で、常に質の高い看護を提供していくこと、そして他の医療職種間のリーダーとしての役割を果たしていくことは容易なことではありません。それでも日々、失敗と工夫、勉強を重ねていく中で、看護師として成長していく確かな手ごたえのようなものを感じることができます。私は在学中から、海外で働きたいという思いが強く、先生方は常にその気持ちを応援してくださいました。国際看護や英語の授業に大きな刺激を得ました。それと共に、基礎看護、卒業論文の指導をいただいた精神科看護、統計学などすべての授業を通して、”日々進歩していく医療、看護技術を前に何をどのように調べ、学び、身に付けていくか”という視点を学ぶことができたと思います。そうしたことが私の自信となり、アメリカヘの進学を決意することができました。聖路加での学びがあったからこそ、私は自身の夢を形にすることができていると確信しています。

聖路加国際大学の歴史の一部となれたことを卒業生として誇りに思うと共に、今後の大学、そして看護のますますの発展を心よりお祈りしています。

Profile

Class of 2010。学士編入学11回生。看護師(Registerd Nurse)。米アナハイムにあるAnaheim Clinical Trials勤務。

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